2012年8月3日金曜日

ONE PIECE



 かつて医局長は宴席で私に問うた。
 「ワンピースは何でそんなにいいの?教えて」

 ・・・

 己の表現の拙さに落胆し、あれから納得のいく説明の言葉を探している。

 これは「人間としての理想の生き方」を提示する物語なのだと思う。

 ルフィはそれを体現している。だからいい笑顔をしている。楽しそうに生きている。皆から愛される。約束を守り、仲間を大切にし、気に入らない相手をぶっ飛ばす。食べたいように食べ、悪ふざけして、なりたいものになろうとする。シンプルで、自由で、愛がある。

 で、そんなルフィ率いる麦わらの一味が暴れ回る舞台には現実世界の諸問題が重なる。アラバスタ編は「戦争ビジネス」、空島は「宗教紛争」、魚人の話は「人種差別」、最新刊(右上のやつ)のパンクハザードは「科学の暴走」。人が人を支配し、自由を奪い、秩序のために個人の幸福を摘もうとする世界にルフィは挑む。「支配なんかしねェよ この海で一番自由な奴が海賊王だ」と。

 皆が大好きなのは、大切なものを伝えようとする物語だということが分かるから。それはきっと真摯な祈りみたいなもので。世界中の子供達に愛され、物語は拡散していく。

 たぶんそんな感じ。
   
 

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