東トルキスタンのウイグルの女性が、中国政府が新疆(しんきょう、シンジャン)と呼び支配する地域で受けている弾圧の内容を告発する漫画である。内容は実在の人物の証言に基づく。公開は2019年8月。書籍化は2020年11月。
漫画の内容はインターネット上のnoteで無料公開されているので、ぜひ読んで欲しい。20ページ弱であり、読むのに10分もかからないだろう。
https://note.com/tomomishimizu/n/nfd4c33d0fcdf
子供の殺害、拘束監禁、強制不妊手術、親族を人質にした恫喝、など、非人道的で苛烈な人権侵害の内容は衝撃的で、初読の人には強いトラウマになるだろう。だが、これは紛れもなく起きている現実であり、インターネット上では告発の動画や証拠が溢れ、2021年1月にはアメリカ政府が公式にジェノサイド(集団虐殺)が起きていると認定した。現在も進行している恐ろしい現実について知ることは、同時代を生きる人間の生存戦略上、不可欠であろう。
だけど、それだけでは足りない。
本書は印刷物であり、1200円で買える。大部分が漫画で描かれ、あとがきを含め40ページ程度なので、簡単に読むことができ、その訴求性は大きい。児童書のコーナーに置かれた小冊子のようなサイズ感であり、20分もあれば内容に目を通せる。だが、この小さな絵本は、大きな力を持つ。
一人でも多くの人がこの本を手に取り、このような非道は許さない、と態度を表明することが中国共産党を牽制し、世界を変えていくだろう。逆に、黙認する人が多ければ、日本人とて他人事ではなく、20年後や30年後に同様の目に遭う可能性が現実にある。苦しむウイグルの人々を救うために、未来の自分や自分の家族を守るために、一人一人が、声を上げる必要がある。その第一歩として、今、絶対に読むべき本である。