Netflixのアニメから入ったが、ファイナルシーズンの途中で電子書籍をDollyで購入し、iPadで一気読み。
豊穣な物語である。内容は世界文学の水準にあると思う。北欧神話に材を取っているらしく、壁、巨人など、登場する要素は神話めいている。ストーリーについては、これから読む人のためにネタバレしないように気を使うため、説明が難しい。とりあえず、壁の向こうにいる巨人と戦う話であると認識しておけば間違いない。
原作である漫画は、前半は画力がイマイチだったり、キャラクター造形に独特のクセがあるため、初読者のハードルは高いように思える。だが、途中何度も山場があり、己の認識が180度転換するような場面がある。私はアニメ版から入ったが、進行は概ね同じであり、展開に衝撃を受ける。人類VS巨人という単純な構図かと思われた物語が、その世界の全貌をやがて現し、読者を深い思弁へと誘う。
作者はどの段階でこの物語の構想を完成させていたのか?
途中、驚きっぱなしで、考え続けたが、無論、最初からである。世界を完全に構築し、物語の時間軸や人物造形を全て定めてから、描き始めている。緻密に張り巡らされた伏線にも唸らされるが、設定だけではなく、テーマが切実で深い。人は何故争うのか、を示し、人間にとって何が大切か、を教えてくれる。民族紛争、人種差別、少年兵の悲劇など、普遍性があるテーマが多数登場。反出生主義を扱う部分もある。
今年は『進撃の巨人』に出会えた年として、自分の中で記憶に残るだろう。コロナ禍の出口のない不安に苛まれる日々の中で、物語に没頭することができた。エレンや、リヴァイや、ジャンやライナーやベルトルトの心境に思いを馳せた。この作品を観た人と、じっくりと語り合えれば楽しいことは間違いない。個人的には『スラムダンク』や『ハンターハンター』級の人生に影響を与える作品だった。ただただ読めて幸せだった。
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