2021年5月23日日曜日

俺か、俺以外か ローランドという生き方


 カリスマホスト、ローランドの本。
2019年3月発売。
 ソーシャルスキルとしての対人コミュニケーション能力に関するミニレクチャーを担当する機会があり、役に立ちそうなので読んでみた。読んだのはKindle版。

 ローランドに注目しはじめたのは去年くらいだったか。
 面白くて、格好良くて、周りを幸せにする、コミュニケーション強者であるローランドの立ち居振る舞いは、公私にわたり参考にしている。

 ローランド、何がいいんだろう。
 自己評価が高い人は、それだけでエンターテイメントになるということ。本人もそれを自覚していて、意識的にキャラクターを演じている。それがホストという職業の役割であり、彼はそれを理解している。ローランドのファンの大部分は、自分に自信を持てない人なんだろうと思われる
。自分を大切にし、愛し、特別視している彼を見ることで(ローランドは五感で味わうべきだそうだが)、その自己肯定感を追体験できるんだろうと思う。ああ、自分を大切にしてもいいんだ、という気づきを得る人は多いだろう。

 そして、軽薄なようでいて、芯があるということ。
 彼の「名言」に凝縮された人生哲学には、人が幸せになるためのメンタリティとして、普遍的な価値がある。個人的に好きなのは、「Noを言えない人間のYesに価値はない」「男が誰を尊敬するのかは自分で決める」あたり。高校卒業までサッカーをガチでやっていたり、名実ともに歌舞伎町No.1ホストになるという目標を実現したり、真剣に戦い抜いた人間が持つ経験や思弁の蓄積がある。そんな彼の言葉には、深みや含蓄がある。それを、あえて軽く見えるように出している。それが彼のプロフェッショナリズムである。

 精神科医療者として、彼に学ぶべきものはなんだろう。
 自尊感情の高さは、目の前の相手や周囲に伝播し、人に幸福感を与える効果があること。清潔感、容姿、ユーモア、優しさ、誠実さの大事さ。際限のない甘やかしや妥協は自身にも相手のためにもならないこと、など。病棟のスタッフに1人ローランドがいれば、圧倒的な戦力になるだろう。患者を癒やし、現場の士気を高め、関わった全員が大切な何かに気づくはずだ。

 なかなか学ぶべきことが多い本だった。これからも、彼に多くを学ぶだろう。
   
   


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