英国作家のジョージ・オーウェルの『1984年』と並ぶ代表作。
1919年のロシア革命の顛末を動物で戯画化して描いた、コンパクトな中編小説である。知恵のある豚が農場主を追い出し、平等を重んじる思想に基づき農場の支配を強め、やがて体制は腐敗していく。ソ連における共産主義政権の歴史がなぞられており、その骨子が動物を使って分かりやすく描かれる。原典の初出は1945年だが、その後のカンボジアのポルポト政権、今なら中国、北朝鮮の権力構造にも通じる。
長らく手元に置いてあったのだが、読みたくなったのは百田尚樹の『カエルの楽園』を読んだからだったか。登場人物を動物に置き換え、警告の内容を平易な語り口の寓話に仕立てるのは、リテラシーの高低にかかわらず老若男女に訴求性があり、時代を超えて有効な手法なのであろう。共産主義思想が生み出す人為的な地獄の本質が、小学生でも理解できる。
時代を変える力を持った物語という感がある。不朽の名作だ。
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