百田尚樹『カエルの楽園』の続編。2020年6月発売。
前作と同様、動物で戯画化されたカエルの楽園ナパージュに降りかかる災禍の顛末を通して、2020年の日本の国難を描いている。コロナ禍、経済禍、国防の問題の本質が小学生でも理解できる寓話に仕立てられ、2時間もあれば読める。お人好しで善良なツチガエルが狡猾で凶暴なウシガエルにしてやられる様を見て、目先の利益に欲をかき、同調圧力に負けて国を滅ぼす日本の構造がよく分かる。
本書の原案は新型コロナウイルス流行に関連する自粛期間中に、作者が短時間で書き上げたもの。本作で取り扱う時事はリアルタイムで進行中の事象であり、作者が今後の日本の進みうる選択肢を予見し、3つのエンディングを書き足している。小説としてはエキセントリックな構成だが、読者への現実認識と思考を促し、作者の意図は十分に果たしているといえるだろう。
無条件に他者の善意を信じるお花畑な思考では、悪い奴に大切なものを奪われる。本作のグッドエンディングに近づけるよう、現実世界でのプロメテウス(安倍首相)の覚醒を望む。
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