2019年12月20日金曜日

池袋ウエストゲートパーク(テレビドラマ)


 石田衣良の小説が原作のテレビドラマを鑑賞。2000年作品。全11話。

 90年代後半頃の東京の猥雑とした空気が全編に溢れる。小汚いファッションに身を包んだ若者たちはセックスと暴力に関するハードルが低い。見る人が見れば、「このあと20年くらい日本が失われるぞ!」と予見できたであろう、退廃的なストリートの文化が散りばめられている。

 そんな世界で、果物屋のせがれである真島マコト(長瀬智也)が街で起こった事件に巻き込まれ、解決のために駆け回る、というのが全体の筋。カラーギャング、性風俗産業、ヤクザなどの入り口を通じて、アンダーグラウンドな世界と一般社会とを行き来しながら真相に近づいていく。都市という世界における、地上と地下の狭間にある特異点。それがマコトのポジションであり、狂言回し兼主人公として物語が成立するという構造となっている。

 シリアスな展開でも遊び心が随所に込められ、シュールで下品な笑いの要素を入れてくるあたりがクドカン節。役者も豪華で、窪塚洋介(キング)、渡辺謙(横山署長)、小雪(カナ)あたりはオーラが全開。警官の阿部サダヲもいい味を出している。雑多な情報が配置され、コマ送りなどエキセントリックな映像手法のアクセントも効いて、独特の調和が生まれ心地よい。棒読みなセリフの役者や90年代特有の泣かせの演出がちょくちょく気になるが、それはそれで当時の日本の文化水準を象徴している。

 原作とはまた違った世界を作り上げた名作だと思う。観た人同士でいくらでも語り合いたくなる。時代を代表する、猥雑な娯楽作品。
  

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