2018年12月31日月曜日

narrative of the year 2018

1位 この世界の片隅に(映画)
ラストで涙腺決壊。ディテールが良く何度も観たい。

2位 ハドソン川の奇跡(映画)
責任を持って働く男に沁みる作品。イーストウッド節。

3位 スリービルボード(映画)
個人的な関心領域とマッチ。ヘイトに満ちた世界で、人は何をするべきか。

ラストシーンのカタルシスにやられる。

5位 ズートピア(映画)
面白く、示唆に富む教育的な娯楽作品。

6位 FISHPEOPLE(映画)
海に行って現実逃避したくなった年だった。

7位 戦の国(小説)
合戦シーンでアドレナリンが出る。

8位 ジャージー・ボーイズ(映画)
バンドっていいよね、となる映画その2。

9位 U.S.A.(音楽)
踊ってて楽しかったのでランクイン。

10位 here comes my love(音楽)
曲調がクイーン系でエモい。

2018年12月22日土曜日

オシャレな人って思われたい!


 女性ファッション誌に連載していたオシャレ漫画エッセイの単行本化。

 山本さほ峰なゆかの作品は何故こんなにも胸に響くのだろう、と考える。世代が同じこともあるが、適度な文学的素養、適度な人間臭さ、適度な現実の受容、ほのかな隣人愛やユーモアのバランスが心地いいのではないか。基本笑えてバカバカしいが、人生に役立つTIPSがところどころに散りばめられている。

 個人的には現時点(2010年代)で、人の心を知るための最適のテキストの一つだと思うのだが、どうだろうか。少なくとも、25歳~40歳くらいの女性の服装や振る舞いという観察所見から精神力動や精神病理を看破する力は高まるだろう。彼女らの長きにわたる葛藤や試行錯誤の結晶として、あれらのファッションやライフスタイルはあるのだ。

 「自分をみじめに見せないことは、何より他人の魂のために重要だ」(三島由紀夫)
   

2018年12月16日日曜日

ボヘミアン・ラプソディ


 世界中でヒット中のクイーンの伝記映画。

 一切の前情報なしで観に行ったが、かなりよかった。伝説のロックバンドであるクイーンの1973年のデビューから1985年のバンドエイドでのライブに至るまでの軌跡を描く。

 物語としては、主人公でバンドのメインボーカルであるフレディ・マーキュリーの青年時代が核になっている。インド系移民という出自、同性愛、放蕩と乱交、HIV、驕り、孤独…etc. 彼の人生は様々な文脈においてのマイノリティーの典型が重複しており、苦しみながらも創造的に生きようとする物語はまさしくボヘミアン(世間からのはぐれ者)のラプソディ(自由な形式の叙事詩)というほかない。

 フレディの、その破滅的な耽美主義の傾向はビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンリンキン・パークのチェスター・ベニントンの系譜に連なる。苦痛に満ちた彼の人生は、音楽によって救われていた。生前には彼のセクシュアリティやHIV罹患は公表されておらず、当時は謎に包まれていた妖しげな輝きの正体を解き明かしたような映画だ。控えめだが強い芯を持つブライアン・メイらとのチームケミストリーがいい。

 バンドっていいよね、と思える映画の最高峰だろう。