2017年12月31日日曜日

narrative of the year 2017


1位 一夢庵風流記(小説)
 理想的な男の生き様に胸が熱くなる。そして、少年漫画的に娯楽として単純に面白い。読んでいて幸せだった。

2位 醒めない(CDアルバム)
 今年すごい聴いていたアルバム。切なくて元気が出る。

3位 みかづき(小説)
 正統派のいい小説。心の滋養になる。

 笑えるし、よく考えると切ない。30代男のリアル。

 往年のファンにはたまらぬ。

6位 凶悪(映画)
 この監督を見つけたのは今年の収穫。

7位 百年の孤独(小説)
 長いけど面白かった。

8位 知識人とは何か(講演集)
 普遍的でためになる話。

9位 波止場(映画)
 ストレートにいい映画。

10位 ミュンヘン(映画)
 奥さんと食卓のシーンが熱い。
   
   

2017年12月29日金曜日

西瓜糖の日々


 忘年会の3次会で「とにかく読んでみてください」と後輩の研修医に手渡されたので読んだ本。薄い文庫本で、予備知識一切なく読んでみた。リチャード・ブローティガン著。初出は1968年。

 果物のスイカの糖で衣服や戸板などを作っている小さな村の話だ。そこで若い青年と思われる主人公の男の独白調で、穏やかな村の暮らしや事件が描写される。鱒の孵化場、言葉を話す虎、辺境の「忘れられた世界」の入り口で粗製のウィスキーを飲んで暮らすならず者達…など、詩的で幻想的な世界の物語が描かれる。

 思い出したのはサバイバル漫画の『自殺島』とドストエフスキーの『悪霊』。あとは村上春樹の世界が近い。表面的な穏やかさ、隣り合わせの残虐さ、トラウマと倦怠を慰撫する性愛と食事。ジョン・アーヴィングも近いな。

 想定外に面白かった。サンキュー。
  

2017年12月24日日曜日

メモ:My favorite works


最近、飲み会等でよく話題になるのでメモ。
2017年末時点で個人的に好きな作品ランキングを考えてみる。


好きな小説10
ガープの世界(ジョン・アーヴィング)
レ=ミゼラブル(ヴィクトル=ユーゴー)
罪と罰(フョードル・ドストエフスキー)
GO(金城一紀)
火星の人(アンディ・ウィアー)
ドクターズ(エリック・シーガル)
69 sixty-nine(村上龍)
一夢庵風流記(隆慶一郎)
悪童日記(アゴタ・クリストフ)


好きな小説以外の本10
経済は「競争」では成長しない(ポール•J•ザック)
銃・病原菌・鉄(ジャレド・ダイアモンド)
伝道者の書(旧約聖書)
知識人とは何か(エドワード・サイード)
世界をだました男(フランク・アバグネイル)
フェルマーの最終定理(サイモン・シン)
父と息子のフィルムクラブ(デヴィッド・ギルモア)


好きな漫画10

心の専門家を目指す人に読んでもらいたい書籍10
くも漫。(漫画)
でっちあげ(ノンフィクション)


好きな映画10
天空の城ラピュタ


カフェに置いておきたい作品100
  1. プラネテス(漫画)
  2. スラムダンク(漫画)
  3. リアル(漫画)
  4. バガボンド(漫画)
  5. 幽々白書(漫画)
  6. レベルE(漫画)
  7. ハンターハンター(漫画)
  8. ROOKIES(漫画)
  9. ジョジョの奇妙な冒険(漫画)
  10. 孤独のグルメ(漫画)
  11. ピンポン(漫画)
  12. ピューっと吹くジャガー(漫画)
  13. 天使なんかじゃない(漫画)
  14. のだめカンタービレ(漫画)
  15. 寄生獣(漫画)
  16. GIANT KILLING(漫画)
  17. ワンピース(漫画)
  18. アラサーちゃん(漫画)
  19. グラップラー刃牙(漫画)
  20. ニャ夢ウェイ(漫画)
  21. 岡崎に捧ぐ(漫画)
  22. 闇金ウシジマくん(漫画)
  23. キングダム(漫画)
  24. ドラゴンボール(漫画)
  25. ドラえもん(漫画)
  26. 情熱大陸への執拗な情熱(漫画)
  27. 失踪日記(漫画)
  28. 金魚屋古書店(漫画)
  29. わたしの日々(漫画)
  30. 陽だまりの樹(漫画)
  31. 俺の空(漫画)
  32. サラリーマン金太郎(漫画)
  33. 三国志 横山光輝版(漫画)
  34. デビルマン(漫画)
  35. くも漫。(漫画)
  36. カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生漫画)
  37. レモンハート(漫画)
  38. ショーシャンクの空に(映画)
  39. ファイトクラブ(映画)
  40. グッドウィルハンティング(映画)
  41. スラムドッグ$ミリオネア(映画)
  42. モーターサイクル・ダイアリーズ(映画)
  43. 最強のふたり(映画)
  44. ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(映画)
  45. シティ・オブ・ゴッド(映画)
  46. きっとうまくいく(映画)
  47. アメリ(映画)
  48. エンドレス・サマー(映画)
  49. ラブ・アクチュアリー(映画)
  50. マッド・マックス 怒りのデスロード(映画)
  51. Mr.Children、ヒカリノアトリエで虹の絵を描く(ドキュメンタリー)
  52. 魔法少女まどかマギカ(アニメ)
  53. 天空の城ラピュタ(アニメ映画)
  54. 千と千尋の神隠し(アニメ映画)
  55. 新世紀エヴァンゲリオン(アニメ)
  56. 穴(小説)
  57. 虐殺器官(小説)
  58. ハーモニー(小説)
  59. GO(小説)
  60. 映画篇(小説)
  61. レボリューション No.3(小説)
  62. ドクターズ(小説)
  63. 永遠の出口(小説)
  64. 火星の人(小説)
  65. ねじまき鳥クロニクル(小説)
  66. 69 sixty-nine(小説)
  67. あなたの人生の物語(小説)
  68. マルドゥックスクランブル(小説)
  69. マルドゥックヴェロシティ(小説)
  70. 天地明察(小説)
  71. 永遠の0(小説)
  72. 沈まぬ太陽(小説)
  73. 姑獲鳥の夏(小説)
  74. 魍魎の匣(小説)
  75. ガープの世界(小説)
  76. スローターハウス5(小説)
  77. 星を継ぐもの(小説)
  78. 悪童日記(小説)
  79. 波の上の魔術師(小説)
  80. 池袋ウエストゲートパーク(小説)
  81. レ=ミゼラブル(小説)
  82. 罪と罰(小説)
  83. そして誰もいなくなった(小説)
  84. しあわせの理由(小説)
  85. 一夢庵風流記(小説)
  86. NOVA(アンソロジー、小説)
  87. 百年の孤独(小説)
  88. 水滸伝(小説)
  89. 100万回生きたねこ(絵本)
  90. 世界をだました男(ノンフィクション)
  91. スパイのためのハンドブック(ノンフィクション)
  92. フェルマーの最終定理(ノンフィクション)
  93. 冒険投資家ジム・ロジャース世界バイク紀行(ノンフィクション)
  94. 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(ノンフィクション)
  95. 父と息子のフィルム・クラブ(ノンフィクション)
  96. 堕落論(評論)
  97. 銃・病原菌・鉄(評論)
  98. 知識人とは何か(評論)
  99. 殺人犯はそこにいる(ノンフィクション)
  100. 経済は「競争」では繁栄しない (科学エッセイ)  
   

2017年12月23日土曜日

Mr.Children、ヒカリノアトリエで虹の絵を描く


 2016年1月から15ヶ月にわたって行われた全国のホールツアーのドキュメンタリーDVD。これまでの大規模なドームツアーでは行かなかったような小都市(北海道では旭川、帯広、釧路で開催)をまわる珍しい試みで、メンバー8人で編成されたバンドによる手作り感のある生演奏が演目の主体となっている。

 ミスチルは「心」のあるバンドである、ということ。それが結局は本質なのではないのかと観ていて思った。本作では、どういう音楽を提供しているのか、という以上に、どういうふうに音楽を届けようとしているのか、という表現者としてのattitude(態度)がフォーカスされている。

 本ブログ筆者である私は20年来のミスチルのファンだが、本作品を観ていて、これまで観た他の映像作品以上にグッとくるシーンが多かった。大事な場面では雄弁になる田原君、不調の桜井を気遣うJen、いつも変らぬナカケー、これで萌えないようでは真のミスチルファンとは言えまい。このチーム感がずっと好きだった、というのを再確認した。

 稲垣哲朗プロデュースのジャケットのアートワーク、イラストのアニメーションのセンスもいい(森本千絵のセンスは苦手)。新曲の『お伽噺』、『こころ』も新境地で、来年あたり出そうな次のアルバムが楽しみだ。ミスチルのいる世界で生きていけることの幸福よ。
   

2017年12月15日金曜日

SURVIVE


 #2の『スイマーよ!』という曲が聴きたかったので衝動的に買ったB’zの9thアルバム。1997年作品。

 別に熱心なB’zファンということもなかったのだが、BOSEのノイズキャンセリングのイヤフォンで久々に聴いたら衝撃的に良くて人生が変わった。何故だろうか。稲葉ボーカルのパワー、松本ギターの勢い、小市民な歌詞の世界観が絶妙にマッチし、内から生きる力が湧き出てきて、家の部屋で酒を飲みながら比類ない幸福感に包まれた。

 #1 DEEP KISS, #2 スイマーよ!, #4 Liar!Liar, #6 FIREBALLなどのロックなナンバーが至高。中学生の時も好きだった気がするが、一周まわって今聴くとこれほどまでに響くとは。疲れた社会人にぜひ聴いてほしい。 
       

2017年12月8日金曜日

医龍 -Team Medical Dragon-


 読んでいたのは医師国家試験前だったか。数年ぶりに再読。全25巻。

 大学病院の心臓血管外科の教授戦を舞台に天才外科医・朝田龍太郎らが暴れ回る医療ドラマである。権力闘争、医局制度、天才の孤独、凡人の葛藤、色恋と成長、医療倫理、など、医療現場を中心に豊穰なヒューマンドラマが描かれる。

 絵も巧いがプロットがいい。朝田、ミキ、加藤、鬼頭などのセクシーな性的強者の妖艶さもいいが、野口、木原、鱈淵なんかの醜悪な面子の造型が内面を含め秀逸。強き医療人が放つ圧倒的な魅力と、そうはなれない大多数の凡人の人間臭い弱さ。そんな格好よさと醜さの対比が際立つ。彼らが化学反応を起こし、葛藤し、限界を超え、課題を克服せんとする戦いのサーガが描かれる。医療ネタの突っ込みどころは多々あるが読めるレベルではある(他にもっとひどいのあるし)。

 最終話はミスチルの『prelude』(16thアルバムSENSE所収)や『HERO』にインスパイアされたのかと個人的に思っている。全編を通して高いテンションが続き、最後には素晴らしい読後感がある。好きだ。