今年読んだ小説の中ではベスト級。面白いな隆慶一郎。1989年作品。
世は戦国時代。主人公の前田慶次郎は戦場では無類の強さを誇りながら、風流を愛し、奇抜ながらも洒脱な生き方を追求する傾奇者(かぶきもの)である。権力や時勢におもねることなく、我が身の危険にも無頓着で、その生き方はぶれることがない。ただ己の欲するがままに恋と喧嘩に興じ、戦を愛し、酒を愛し、茶の湯を愛し、詩歌を愛し、悪ふざけを愛し、女を愛する。
これぞ理想の男の生き様である。シンプルに、あるがままに人生を楽しむ姿はただただ美しく、当人もさることながら、誰の目から見ても気持ちがいい。作者同様、彼に出会った人々が惚れ込んでいくことで、その無茶苦茶な生き様の実現可能性が高まっていくのが実感できる。
かぶいて生きていた部活の某先輩はこの人をモデルにしているんじゃないかとふと思った。
人生を楽しむためには、男は強くあらねばなるまい。
人生を楽しむためには、男は強くあらねばなるまい。
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