これは面白かった。
黒澤明監督、三船敏郎主演の1962年(昭和37年)作品。
流浪の剣豪が戦う時代活劇の佳作。
時間が96分、コンパクトにまとまり、展開もサクサクしていて楽しい。ストーリー運び自体も視聴者を飽きさせない緊張と弛緩があり、緩急の付け方がうまい。箸休めのように挟まれるコミカルな場面や風雅なシーンもいい。全体を通して野卑さと優雅さの対比が目立ち、互いに際立てあっていて、観ていて楽しい。
主人公の椿三十郎は見た目はむさく、口は悪いが、懐が深く、腕っ節は滅法強い。昔の『こち亀』の両津の原型が見て取れるというか、昭和の男の理想像の鋳型の一つがここにある。昭和のおっさんは皆こういう男に憧れていたのだ。
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