オリバー・ストーン監督が従軍の実体験を基に描いたベトナム戦争映画。1986年作品。
新兵として派兵された青年クリス・テイラー(チャーリー・シーン)の目に映る情け容赦ない戦場の現実が延々と続く。熱帯のジャングルで汚い言葉で悪態をつきあう男たちの大部分はアメリカの低所得層の若者であり、そこには不潔で過酷な行軍があり、疲弊があり、いじめがあり、反目があり、罪のない原住民の虐殺や陵辱があり、ゲリラ兵に殺される恐怖がある。
軍服に身を包んだ人々の顔の見分けがあまりつかず、役職や人間関係を理解するのに苦戦したが、戦場の理不尽さとやりきれなさは思いっきり伝わった。インテリで育ちのいい主人公が観測者として主役を張るあたり『フルメタルジャケット』に似ており、彼の視点を通すことで理屈の通らない戦場の狂気と愚かさが浮き彫りになる。綺麗事など何も言えない戦場の過酷さを誠実に描き出し、記録し、問題提起している。
こりゃアカデミー作品賞も取りますわ、という噂に違わぬ名作だった。
戦争の悲惨さに、ただ、唖然とするほかない。
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