2017年2月10日金曜日

クリプトノミコン


 理系オタクの頭脳バトル&第二次世界大戦時に隠された黄金を探す冒険小説。2002年作品。

 第二次世界大戦時のパート(暗号解読者のアメリカ人ローレンス、日本陸軍の兵士の後藤、アメリカ海兵隊の下士官ボビー・シャフトーらの話)と、現代パート(ローレンスの孫でフィリピンでの事業を目論むランディらの話)が、短い場面で区切られながら入り乱れ、黄金が隠される過去と、それを手に入れようとする現代の子孫達の物語が展開する。

 厚めの文庫本で4冊で、膨大な情報量が偏執狂的に編まれ、読むのが何かの修行に思えた。が、数年かけて読んだため全体の理解が浅くなりつつも、なんとか最後まで到達し、再び読みたいと思える興趣と知的興奮はあった。RSA暗号など数学的理論を用いた暗号の仕組みに興味をもてる人には楽しめると思う。散発する理系ギャグと蘊蓄も読み手を選ぶ。

 この本を推していた書評家の大森望くらいのリテラシーがあると抱腹絶倒で楽しめるらしいが、小説としての難易度は高めで、理系エンターテイメントの極北という感じ。本ブログ筆者はまだその域に至らぬ。
    

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