大森望編集の短編集3冊目。ハードSF色強し。
冒頭のパロディ漫画、とり・みき『SF大将特別編 万物理論[完全版]』がスマッシュヒット。元ネタのグレッグ・イーガンの長編を読んでいたので深く心に沁み入る。
人工知能のバイクと管理コンピュータの友情物語『ろーどそうるず』(小川一水)は友情の描き方が模範的で、お約束の空気が漂い、分かっちゃいるが感動的。SF的な科学技術と伝統的日本文化の問題が融合して問題を提起する長谷敏司『東山屋敷の人々』みたいのはだいぶ好き。難解だけどハードSFの醍醐味が詰まっている瀬名秀明『希望』も繰り返し読みたくなった。
個人的な好みからは円城塔は縁遠いなと思った。言葉遊びのための言葉遊びって感じが今イチ。あと東浩紀『火星のプリンセス』も、アニメに理想の自己を投影するようなオタク男子の気持ち悪さが想起され好きになれず。そういういびつな自己愛が生む過度な爽やかさみたいなものがなければ、もっと好きだと思う。(シュタインズゲートが好きになれないのと同じ原理。実社会でイケてない男の屈折した美学みたいのが気になって楽しめない)
続けて読んでいると、自分のSF的な好みが把握できて非常に有意義なシリーズ。職場の昼休み読むといい感じ。続きも読まな。
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