感想:「乗るやつもっと厳選しろよ」
遅ればせながら初めて観た。内容は言わずと知れた有名作品で、宇宙船内で異星で拾ってきた地球外生命体が暴れるという話。1979年の作品。
乗組員(クルー)は嫌なやつ多し。筆者は最近読んだ『火星の人』や『宇宙兄弟』あたりの影響で最近は宇宙飛行士ものブームであり、長期にわたり閉鎖環境で苦楽を共にするクルー達の適性審査みたいな話をよく目にして想いを馳せているが、本作での人々は、なんというか、浅はかで、薄っぺらいやつばかりだ。1970年代の人間観はそんなもんだったのか(ヒトのエゴや怠惰や誤謬への諦観があった?)、パニックムービーとしての体裁を取るためのご都合主義なのか(ホラー映画で殺されそうな奴ばっかりだ)、まあ、そのへんが観ていて大変気になった。クルーの人間性の適性のなさがリアリティを欠いているのである。
映像技術はレトロで、今観ると歴史的名作の風情。宇宙船のテクノロジーへの愛着が散見され、監督のリドリー・スコットが約40年後に『オデッセイ』を作ったと考えると感慨深い。体液を撒き散らすことで怖さを表現するグロテスクな描写は、当時の制作者としては精一杯の想像だったんだろう。映画の発展と共に人類の世界認識も進歩しているんだな、と観ていて思った。