日本のオシャレを牽引している(していた)雑誌業界の文化風俗が分かる作品…だと思う。たぶんBRUTUS、Cut、Pen、的なものと思われるオシャレ雑誌の編集部に異動になった35歳の男(奥田民生リスペクト)が主人公。『ボサノヴァカバー』の作者が描く長編。
タイトルの通りの魔性の女「天海あかり」のプロファイリングが秀逸。愛知出身、アパレル業界、という出自で何かしら感じさせることのある彼女が、人格障害圏の操作性を存分に発揮し周囲の男たちを破滅させていく。他にも、出てくる人がいちいち東京のファッション業界にいそうで、細部の設定が光っている(と思う)。冒頭の飲み会で意味不明な固有名詞が乱れ飛ぶ感じが、なんというか東京。
2000年代に流行したサブカル的な世界を斜めに見て冷笑しつつ、ある特定の時代の東京のライフスタイルを学べる作品だと思う。あと奥田民生が聴きたくなる。
「自意識から解放されて楽に生きていけたらいいのに」っていう話。
0 件のコメント:
コメントを投稿