2012年8月28日火曜日
2012年8月26日日曜日
西原理恵子
西原理恵子はattitude(生き様)で魅せる漫画家である。
高知の極貧の漁村出身。東京の美大に通い、ミニスカパブとエロ本のカットで食いつないで、漫画家になった。元夫の鴨ちゃんはアル中の戦場カメラマン。病状が悪化し離婚したが、子供らと共に末期肝臓がんの最期を看取った。(映画『酔いがさめたら、うちに帰ろう』を参照)
作風はヘタウマ私小説系エッセイ漫画。下品さは比類ない。性器の俗称を連呼し、ホモと拝金が跋扈する。そんな猥雑な世界で、彼女は一切を是とする。浄も不浄も肯定し、惨めで愚かしい衆生を活写する。
身も蓋もない表現で人間の本性を暴く告発者でもある。支配階級に矯正され歪曲する前の、真っ直ぐな目。理不尽を笑い飛ばし、痛みを浄化する、強靭な生命力。そんな生来の無頼を武器に、タフに人生を爆走している。
人生相談の言葉の向こう側に、伝説の大僧正、今東光の姿が見えた。辛酸を舐め、汚穢にまみれ、それでも生きることを肯定しようとした修験者の境地に達しつつある、気がする。
入門には鳥頭紀行とできるかなシリーズを薦める。最近では佐藤優とのコラボが熱い。
2012年8月22日水曜日
The Black Parade
We'll carry on
And though you're dead and gone believe me
Your memory will carry on
Welcome To The Black Parade / My Chemical Romance
・・・
病院で死に向かう患者の意識がテーマのコンセプトアルバム。
その真ん中にあるwelcome to the black paradeが好き過ぎて、ここ数日無限にリピート。
ヘミングウェイの『誰も死にはしない』っていう短編があるけど、そういう感じで。
たとえ道の途上で倒れても。
その記憶は、残された者の中に生き続ける。
だから、きっと自分の「道」のために命を賭すことは徒労じゃない。
思いのままに突き進んで、生きる歓びを享受する姿がこの世界を照らす光になる。
きっとワンピースを好きになるのと同じ理由で、好きなんだと思う。
2012年8月18日土曜日
2012年8月11日土曜日
2012年8月10日金曜日
2012年8月3日金曜日
ONE PIECE
かつて医局長は宴席で私に問うた。
「ワンピースは何でそんなにいいの?教えて」
・・・
己の表現の拙さに落胆し、あれから納得のいく説明の言葉を探している。
これは「人間としての理想の生き方」を提示する物語なのだと思う。
ルフィはそれを体現している。だからいい笑顔をしている。楽しそうに生きている。皆から愛される。約束を守り、仲間を大切にし、気に入らない相手をぶっ飛ばす。食べたいように食べ、悪ふざけして、なりたいものになろうとする。シンプルで、自由で、愛がある。
で、そんなルフィ率いる麦わらの一味が暴れ回る舞台には現実世界の諸問題が重なる。アラバスタ編は「戦争ビジネス」、空島は「宗教紛争」、魚人の話は「人種差別」、最新刊(右上のやつ)のパンクハザードは「科学の暴走」。人が人を支配し、自由を奪い、秩序のために個人の幸福を摘もうとする世界にルフィは挑む。「支配なんかしねェよ この海で一番自由な奴が海賊王だ」と。
皆が大好きなのは、大切なものを伝えようとする物語だということが分かるから。それはきっと真摯な祈りみたいなもので。世界中の子供達に愛され、物語は拡散していく。
たぶんそんな感じ。
2012年8月2日木曜日
世界をだました男
26カ国で偽小切手をばらまき250万ドルをせしめ、行く先々で出逢った女性と関係を持つ。パイロット、医師、法律家になりすまし、知恵と機転で何度も窮地を脱する。それを16歳で家出し、21歳で逮捕されるまでに成し遂げた。彼曰く、詐欺を成功させる三要素は人間的魅力、観察力、調査能力だそう。
モラルも常識も乗り越えて、既成概念の枠をぶっ壊して自由気ままに飛び回る。単純で、偽りない、純粋な生きる歓びを体現する。人間ってそこまで無茶苦茶できるんかい、という好例である。
惜しむらくは邦題がいけてないこと。なぜこの国の翻訳でメシ食ってる人たちは "バッド・デイ~ついてない日の応援歌" とかつけるのか。