西原理恵子はattitude(生き様)で魅せる漫画家である。
高知の極貧の漁村出身。東京の美大に通い、ミニスカパブとエロ本のカットで食いつないで、漫画家になった。元夫の鴨ちゃんはアル中の戦場カメラマン。病状が悪化し離婚したが、子供らと共に末期肝臓がんの最期を看取った。(映画『酔いがさめたら、うちに帰ろう』を参照)
作風はヘタウマ私小説系エッセイ漫画。下品さは比類ない。性器の俗称を連呼し、ホモと拝金が跋扈する。そんな猥雑な世界で、彼女は一切を是とする。浄も不浄も肯定し、惨めで愚かしい衆生を活写する。
身も蓋もない表現で人間の本性を暴く告発者でもある。支配階級に矯正され歪曲する前の、真っ直ぐな目。理不尽を笑い飛ばし、痛みを浄化する、強靭な生命力。そんな生来の無頼を武器に、タフに人生を爆走している。
人生相談の言葉の向こう側に、伝説の大僧正、今東光の姿が見えた。辛酸を舐め、汚穢にまみれ、それでも生きることを肯定しようとした修験者の境地に達しつつある、気がする。
入門には鳥頭紀行とできるかなシリーズを薦める。最近では佐藤優とのコラボが熱い。
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