2021年10月24日日曜日

シリコンバレー式 自分を変える 最強の食事


 アメリカでベストセラーになった健康になるための食生活の指南書。原題は"THE BULLETPROOF DIET"(防弾の食事という意味)。 英語版は2014年、日本語版は2015年発行。電子書籍版をDollyで読了。

 作者のデイブ・アプスリー氏は米国のIT企業家で、社会的な成功を収めたが、長年体調不良に悩まされていた。そんな彼がバイオハック(生体を研究して攻略すること)に挑み、長い試行錯誤を経て、自身の体調を整える食事の黄金律を見つけるに至る。そんな彼の知見をまとめたのが本書である。

 私が読んでいる高城剛氏のメールマガジンでよく言及されるので読んでみたが、医学的な観点から見て、合理的な内容が多いように思えた。現代人は炭水化物を取りすぎで、適度に減らすと体調が良くなる、というのは自分でも実践して実感するところである。高脂肪、高タンパク、低炭水化物、朝のバターコーヒー(MCTオイル入り)などが本書が紹介する食事の売りである。背景理論については内容を参照されたいが、ざっくり言うと、体内の炎症を減らすことに重きが置かれている。

 ただし、作者のアメリカンな思考様式、豪快で繊細さに欠けるスタンスでは気になる。日本食への造詣は深くないようで特に触れられることはなく、他国の伝統的な発酵食品などについても、疑わしきは排除、という記載が引っかかる。万人に安全な食事法を伝える入門編としてはいいかもしれないが、日本食を含め、各国の伝統食品の愛好者は反論したくなるだろう。納豆や梅干しの力で驕ったメリケンの安全神話に一泡吹かせてやりたい、考えるのは自然なことであろう。

 などと思いつつ、体質は各人によって異なるものであり、遺伝子によって解毒の得意不得意もあるので、それぞれ自分に合った食事を見つけましょう、という助言が添えられており、全体としては学術的に誠実で好印象である。食事の見直しによって体質改善を図る端緒とするための好著と言えよう。部分的であれ実践すると、昼に眠くならない、日中のだるさが消える、など体調が良くなるのを体験できる(実体験)。

 なお、本ブログでこの本を紹介するのは、作者の生き様に物語を感じたからである。IT長者が食と健康の伝道者になるというストーリーは、面白い。
 

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