2021年8月27日金曜日

テネット


 クリストファー・ノーラン監督の映画。2020年作品。
 NETFLIXで視聴。

 ウクライナの首都キエフのオペラ会場でのテロから物語は始まる。CIAの特殊部隊の工作員である主人公の男(ジョン・デイヴィッド・ワシントン、デンゼル・ワシントンの息子)にとあるきっかけで白羽の矢が立ち、巨大な陰謀と戦うために世界各国を飛び回ることになる。時間が反転して人や物が過去へと向かう技術が途中で出現し、未来から時間を逆行してくる人間と戦う時間SFの設定が物語の肝となる。

 壮大な規模でパズルのような物語作品を作るのが趣味のクリストファー・ノーラン作品の中でも、長年にわたり構想を温めていた肝煎りの作品らしい。難解さは突出しており、前情報一切なしで観てみたが、全くついていけなかった。1時間ほどインターネット上の考察を読んで、ようやく全体像が見えてきた。用語や設定の説明も少なくて混乱するが、特に時間軸が難しい。

 面白いかどうかでいうと、まあそれなり。分からなすぎて途中で諦め、よくわからないまま終わったが、考察を読むのは楽しかった。役者のまとう空気には味があり、映像技術はすごかった。鑑賞直後は2度目を観たいような気がしたが、数日経った現在、まだ手は伸びず。まあ、そういう映画である。暇があったらまた観たい。

 個人的には、クリストファー・ノーラン映画は『インセプション』>『インターステラー』>『テネット』>『メメント』という感じ。
   

2021年8月20日金曜日

オッドタクシー


 2021
4月からテレビ放映されていたアニメ作品。
 全13話。アマゾンプライムで視聴。

 舞台は現代の東京で、動物の姿をした人々が都会の中で生きている。セイウチの姿をした個人タクシーの運転手である小戸川という男が主人公。数週間前に失踪した女子高生の事件を軸に、半グレ風のアンダーグラウンドな人々、アイドルやお笑い芸人ら芸能関係者、インフルエンサーの大学生、ネトゲ廃人、汚職警官などが絡み、群像劇が繰り広げられる。

 下手な内容への言及はネタバレになるので説明が難しいが、とても良かった。お洒落で、クスッとできて、風刺が効いていて、サイコホラーな要素を含みつつ、それでいて本格的なミステリー作品になっている。観終わってみると、
成る程よくできている、と唸らされるような仕掛けが張り巡らされている。重すぎず軽すぎない内容と、構成要素が有機的に繋がっていく構成や会話の妙は、伊坂幸太郎の小説作品が近いように思う。

 6時間ほどあればアマゾンプライムで全話観て、内容を補完するYouTubeのオーディオドラマを聴くことができるだろう。老若男女、多くの人に薦めたい。今年のベスト候補な娯楽作品である。