北野武監督の2010年作品。109分。
2000年代のリアルヤクザを描く娯楽映画という風情で、『ソナチネ』のように芸術的に尖った要素があるわけではない。北野武は末端の組織の組長という役で登場し、上層部の思惑に翻弄される。個人の美学や心情と組織人の欲得が衝突し、人が死ぬ。それ以上でもそれ以下でもない映画である。
基本はバイオレンスな娯楽作品であるが、ヤクザの組織の力学を学べる。椎名桔平の格好よさは特筆すべきものがある。命を張って生きる人間の気魄が皆表現できているのもよい。人に薦めるかと問われれば、ぜひとも薦めたい。不道徳で、苛烈で、それゆえに際立つ人間の輝きがある。これぞ娯楽映画という感がある。
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