実話に基づく2016年作品。
クリント・イーストウッド監督。トム・ハンクス主演。
舞台は「ハドソン川の奇跡」(The miracle of Hadson)として知られる2008年の飛行機の不時着事故のあとの世界。主人公サレンバーグ(原題:Sullyは彼のニックネーム)は1人の犠牲者も出さずに大型旅客機の着水を成功させたパイロットとして、その判断と技術に対し世界中のメディアから称賛を受けていた。だが一方で、川への着水を選んだ判断の正当性について事故の調査委員会の厳しい追及が続いていた。彼は喧騒と追及の日々の中で「あの判断は本当に正しかったのか?」という苦悩に苛まれ続ける。
本作のテーマは「英雄の条件」だろうか。どのような人物が真に英雄として讃えられるべきか。静かに男を張るヒーローのダンディズム。一貫してイーストウッドが描こうと求め続ける英雄(ヒーロー)の像が示されている。DVD特典のドキュメンタリーを観ると、いっそう理解が深まってよい。幼少期からのサレンバーグの生き様を通して知ることで、緊急時の判断が決して偶然の産物ではないことがわかる。
これはかなりよくて、生涯のベストムービーのリストに入れたい。題材の選択、潔い構成、飽きさせない展開、程よい表現の抑制、などイーストウッドのセンスがいい感じに出ている作品だと思う。こういう映画を観て生きていきたい。
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