2017年10月21日土曜日

CHOKE


 『ファイトクラブ』の原作の作者でもあるチャック・パラニュークの小説を映画した2008年作品。原題の”CHOKE”は窒息の意。医学部を中退したセックス依存症の青年の物語である。

 性的逸脱は愛着に関する心的外傷を予感させる。アメリカの疼痛医療学会(American Academy of Pain Medicine)、疼痛協会(American Pain Society) 、依存症医学会(American Society of Addiction Medicine)の3学会は「痛み」と「アディクション(依存症)」は別の診断カテゴリーではなく互いに重なり合う疾患概念である、という共同声明を2001年に発表しているそうだが、この主人公も多くの依存症者の例に漏れず、母親との関係に決定的なトラウマ(心的外傷)がある。痛みを鎮撫(numb)するための刹那的な快楽の追求。多くの芸術家や境界性パーソナリティ障害患者が抱いている普遍的な病理である。

 映画としての表現力や構成力はイマイチ。脚本で原作にある諸要素を統合できていない。映像として象徴的なシーンはいくつもあるが、ストーリーとして有機的に絡み合っておらずチグハグ。ただ、チャック・パラニュークの世界観にはレディオヘッドが親和性が高くていい感じだ(エンドロールの”Reckoner”がgood)。慢性的な心的外傷に苦しむ青年の物語を表現する創作として、世界観同士が共鳴しているんだろう。

 邦題については日本の配給会社が完全にやらかしてハズした感。
 筆者もDVDを買ってはみたが置き場所に困っているクチである。
   

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