2017年7月25日火曜日

Meteora


 チェスター・ベニントンの死のニュースを目にしてから、こればかり頻回に聴いている。

 ひととおり流行ったあと何年かして、大学生活の後半にCDを買ったんだったか。経路不明だがiTunesに入っていた2003年作品である。エモい声とラウドなギターサウンド、静と動のコントラスト、電子的なサンプリングが生む危うい雰囲気…が特徴というところだろうか。ボーカルのチェスター・ベニントンのメロディアスな美しい高音と、激情を叩き付けるような叫び声から伝わってくるのは、繊細で、苛烈で、胸の内に灼熱の痛みや怒りを抱えた人物像だ。

 己の痛みをNumb(麻痺)させるための芸術活動を欲するアーティストがこの世には存在すると筆者はしばしば考えているが(The beach boysのブライアン・ウィルソンとか)、Linkin Parkのチェスター・ベニントンもきっとそういう種類の人間の一人だったんではないかと推測する。鎮痛のための音楽、詩、映像、パフォーマンス。美しい音が、映像が、熱狂が、頭の奥で疼く痛みを一時忘れさせてくれる。彼らが性的に乱れ、酒やドラッグに溺れ、非業な死を遂げるのは偶然じゃない。痛みを鎮めないと生きていけない。そういう種類の人間がいるのだ。

 しかしこのアルバムの音は格好いいな。一時であれ、世界中を熱狂させたその人生にはきっと価値がある。
   

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