2016年10月27日木曜日

十二人の死にたい子どもたち


 冲方丁、初の現代もの。インターネットを介して知り合った自殺願望を持つ10代の少年少女が廃院となった病院に集まって…という話。

 基本的には閉鎖空間での心理戦とミステリー。詳細な情景描写と視点の入れ替わる3人称で、組み木細工のように緻密なプロットが構築されている。登場人物はいろんなタイプの「自殺を考える若者」像が描かれていて、とりわけ1番サトシ、6番メイコ、7番アンリの造型が見事。こういう人いるよね、っていう空虚で邪悪な人の描写にリアリティがある。

 筆者が熱心な冲方ファンというバイアスがあるとはいえ、楽しく読めて読後感も良好だった。マルドゥックスクランブルのカジノ然り、こういう頭脳戦はいいね。
      

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