2016年6月22日水曜日

A Moon Shaped Pool


 レディオヘッドの新譜。5年ぶり9枚目のアルバム。

 全体的に浮遊感のあるアンビエントな味わい。月の形をしたプールというタイトルの通り、禅の意匠のような静的なイメージが全体に漂う。バンド特有の不穏が忍び寄る気配と悲しみを残しつつ、静かに新しい方向へシフト。

 曲の並びもまさかのアルファベット順。ロラン=バルトの著作のように、一義的な意味付けを嫌い、人為の意図を切り離して、音楽を音楽として純粋に味わってほしいという姿勢の現れだろう。歌詞もまた断章形式で、細かな解説はなく、内容も難解。新奇性追求と自己解体を繰り返すレディオヘッドらしく、哲学的な思弁を突き詰めた結果の表現と思われる。

 これを書いている時点で3周ほど聴いたが、好きなのは#2 Daydreaming、#5 Ful Stop、#9 Present Tense、#11 True Love waitsあたり。 繊細で儚げなLast flowersみたいなバラード系でエモい(という用語があるらしい)。

 自分がレディオヘッドに求めていたのはこれかもしれない。お気に入りになる予感。
   

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