2014年12月24日水曜日

ゴーン・ガール


 個人的に贔屓にしているデイヴィッド・フィンチャー監督の新作の評判がいいと聞いたので、情報を全く仕入れずに勢いで劇場に行って観てきた。妻がある日失踪し、嫌疑をかけられる男の話。

 相変わらずなフィンチャー節の抑えた色調、控えめなBGM、静かながら不穏でダークなムード。その根底にあるのはグロテスクでdisgusting(生理的嫌悪感を催す)なブラック・ユーモア。煽動される愚昧な大衆への舐めきった視線も健在。この監督は現代を生きる愚者とお人好しに厳しい。

 情報が小出しにされ、観てる側も登場人物への見方がグルグルと転換する感覚を味わえる。嫌悪と恐怖をかきたてる強烈な毒気が表現されるが、その容赦なさ故に際立つささやかな癒しがある。

 辛辣な風刺の効いた夫婦の性愛の話であり、ひねくれた大人のための娯楽作品。
   

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