2012年12月9日日曜日

69 sixty-nine



 かなり好きな小説の一つ。
 1969年、長崎佐世保の高校生の夏を描いた村上龍の自伝的小説(らしい)。

 全共闘。学生運動。フォークソング。
 ビートルズ。ウッドストック。フェスティバル。
 ヒッピー文化と反権力の熱に浮かされた時代。
 既存の秩序が壊され、新しい何かが生まれる予感を誰もが感じていた。

 その余波は九州の片田舎の高校生の日常にも影響を与えた。
 何かを成したくてしょうがないが、いかんせん垢抜けなくてショボい。
 そんな彼らの行動の核心にあるのは、いつも異性にモテたいという単純な欲望。
 あんまり後先考えない感じのバカバカしい勢いが実にいい。

 作者もあとがきに書いているが、モテない奴、人生を楽しんでない人々は容赦なく辛辣に描かれている。
 だがモラルや常識を楯にした批判をするのは無粋。
 生きる歓びに満ちた若造の武勇伝を、ニヤニヤしながら読むのが楽しい。
   

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