2015年7月20日月曜日

マッドマックス 怒りのデス・ロード


 いい意味で、振り切っている。

 核戦争後に荒廃した『北斗の拳』的な世界で(※マッドマックスの方がオリジナルだが)、寡黙で孤高の男マックスが水を支配し暴力と洗脳を用いてコミュニティを牛耳るイモータン・ジョーの支配下から逃げ出し、、、という話のシリーズ4作目。

 だが、筋はどうでもよく、様式美を楽しむべき痛快な娯楽作品である。クレイジーすぎてニヤニヤが止まらない、改造しまくった車の暴走と、息もつかせぬ車上での激しいバトルをひたすら楽しむべきである。

 この美学の同一線上に漫☆画太郎先生やマキシマム・ザ・ホルモンの表現する世界があるのだ、と得心した。ロックで、パンクで、欺瞞や退屈を吹き飛ばすパワーがある。まさにMad (狂気) Max(全開)。

 人として失っちゃいけないものを再確認できる映画だと思います。勢いとか。
   

2015年7月18日土曜日

アルゴ


 1979年、イランで革命が起こりアメリカ大使館が暴徒に占拠された。人質の一部は大使館から辛くも脱出しカナダ大使館に匿われるも、イランの秘密警察に見つかればアメリカへの怨念を募らせた民兵による拷問や死刑に処されるのは明白。そんな絶望的な状況下、取り残された6人の大使館職員らを国外へ脱出させるべく、CIAの人質救出専門家である男による前代未聞の計画が始動した、、、という話。2012年の第85回アカデミー作品賞受賞作。

 寡黙で信念に生きるベン=アフレック(主人公、監督でもある)の男ぶりに加え、正体が見つかれば死というスリリングな展開と、荒唐無稽な発想の妙が純粋に面白い。何より実話に基づく話であるということが衝撃。事件後よりこの計画はアメリカの国家機密に指定されていたが1998年に機密の指定を解除されて18年ぶりに事実が公開されたとのこと。実在の人物による知られざる戦いだったという事実も、なかなか胸に来る。

 是非、余計な前情報なしで観てほしい。作品と歴史的事実の相違については調べると興醒めするので深追いしないことを奨める。純粋に素晴らしい観賞後の感覚が得られた作品だった。
   

2015年7月7日火曜日

梅原大吾


 以前ブロガーのちきりん氏が推していたので読んでみた新書。それは格闘ゲーム世界一のレジェンドの半自伝であり、全ての分野に通じる、勝ち続けるための人生哲学の書だった。

 思い出したのは『バガボンド』の宮本武蔵とミスチルの『未完』という曲(REFLECTION所収)。一つの分野に徹し、勝利を求め模索する中で己と向き合い、道理を悟り、逍遥遊に楽しむ穏やかな涅槃の境地に至る道筋、、、ということで仏道に通じる。

 暑苦しいと避ける人もいるだろうが筆者は好きだ。精神科医であれ、プロ野球選手であれ、証券アナリストであれ、ナンパ道であれ、格闘ゲームでなくともあらゆる分野に通じる思考様式が展開される。筆者は読んでいて身につまされ、何か一つの分野に徹底的に向き合い、限界まで突き詰めたい衝動に駆られた。それはきっと人生を最高に楽しむための秘訣。

 毎日頑張れ。常に変化せよ。そして、楽しめ。
   

エンドレス・サマー


 サーフィン映画その2。

 若いアメリカ人の兄ちゃん2人がperfect wave(完璧な波)を探して世界を旅するロードムービー。カメラマンを加えた3人のみで撮られた作品らしく、ドキュメンタリーな雰囲気。

 アフリカの西側から南端へ。オーストラリア、ニュージーランド、タヒチへ寄ってからハワイへ。1964年公開の映画だが、撮影された時代背景を考えるとまさに冒険だったんだろうなあ、、、と感慨。インターネットもない時代に未知の秘境へ飛び込み、波に乗って遊び、現地の人と交流する。

 怖いもの知らずの若造の勇気と楽観。シンプルで力強い行動力。陽性の力動。人生を楽しむための示唆に富んでいる。心の健康に良さげな生き様を提示しており、禅的な理想を感じる。 
   
 仕事を辞めて旅に出たくなる。いい映画。
   

ビッグ・ウェンズデー


 サーフィンを趣味にしたらどうなるか、という気分で最近生きていたため、その雰囲気を知るために観た映画その1。

 1960年代。アメリカ西海岸。サーファーとして名の通った通った若者3人の乱痴気騒ぎや色恋。ヴェトナム戦争による離別。そして再会と、伝説の大波への挑戦。

 おおらかでゆるい、サーファーの理想のライフスタイルの片鱗に触れた。

 サーフィンやりてえ。
   
   

範馬刃牙


 刃牙の第三部。全37巻。

 「もはや蛇足では…?」と読みながら思っていた。父・範馬勇次郎との世界最強の親子喧嘩、というテーマで引っ張りに引っ張るが、古代人ピクルとか親子の食事のシーンとか、色モノっぽい奇抜さに走り出したのが個人的には解せない。続ける程にキャラクター達の格が下がっていく気がする。

 第二部(バキ)あたりで止めておいた方がすっきり楽しめると思う。
 第四部(刃牙道)は完結したら読む予定。
    

2015年6月23日火曜日

夏への扉


 時間SFの古典的名作。ロバート・A・ハインラインの1956年の作品。

 主人公ダニーは個人的にイメージするのはライブアライブのSF篇のカトゥー(この喩えはどれだけ通じるのか)のような古典SFの典型像の発明オタク。研究以外には無頓着で、異性関係やビジネスライクな駆け引きが苦手で、口下手だが心根は優しい29歳くらいの男を想像する。そんな人のいいオタクが商売仲間と恋人に裏切られ、ヤケ酒と愛猫ピートとの戯れを慰みに、失意の中、30年の冷凍睡眠(コールドスリープ)に身を委ねようとするが、、、という話。

 特に日本で人気のタイムトラベルSFだが、一部にプロットを酷評する向きもあり(大森望は好きじゃないらしい)、どんなもんかと思って読んでいたが、まあ、確かに、今よりも単純な時代の娯楽という感じ。従妹のリッキーへの親愛の情や中盤以降の展開は、汚れなき心を持つ純なオタクの理想像としての濃度が高く、ちょっとイケてない気が。

 とは言え、冒険あり、謎解きあり、ロマンスあり、王道の展開を確立した古典として読むと割と楽しめる。科学と猫が好きならきっともっと楽しめる。

 夏に読もうと思って取っておいた作品だが、夏に読む必然性は全くなかった。
   

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