10年ぶりくらいに通読。全28巻。
掲載は1994年~1999年で、筆者が中学生の時に買い揃えた漫画である。大人になった今読むと甘っちょろくてシラケてしまうやり取りも多いが、少年漫画としては優秀だと思う。戦闘シーンや表紙絵など画力は圧巻で、アメコミの影響を隠さないアクの強いキャラクターの造型もいい。牙突や二重の極みをはじめ、真似したくなる技が沢山あるのもいい。
そして、骨格となるプロットがしっかりしている。幕末の伝説の人斬りが明治の世を生きる『罪と罰』の話であり、剣心の葛藤と信念には普遍性がある。神谷道場一派の道徳の押し付けは鼻につくが、そのアンチテーゼとして登場するピカレスクな登場人物たちは魅力的だ(斎藤一とか、志々雄真実とか)。
惜しむらくは、ジャンプの腐女子化の流れに決定的な影響を与えたであろう作品だということ。『幽遊白書』の蔵馬飛影と、本作の美形な男たち(四乃森蒼紫、宗次郎あたり)が育んだものであろう。本作の般若や夷腕坊のような、醜悪さを含む造型のキャラクターを描く勇気がないのが最近の少年漫画の駄目なところだと思う。