2017年5月14日日曜日

百年の孤独


 コロンビアの文豪ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作。1967年作品。

 これは読むのがしんどかったが面白かった。
 舞台は南米の架空の村マコンド。約100年間、数世代にわたる一族の歴史が語られる。これだけ書くと何が面白いんだかさっぱり分からないが、怒濤の情報量の中に、豊穰なインスピレーションや物語性が満ち満ちている。女狂いのダメな男、陰気で悪運に満ちた人生を送る男、家を守るために奮闘する女、神秘的な娼婦、魔術的な道具を持って現れるジプシー。数年にわたり雨が降り続けたり、人が空を飛んだり、家畜が爆発的に繁殖したり、わけのわからないことがいっぱい起こる(マジック・リアリズム)。

 こんなにわけがわからないが楽しい読書体験はあまりない。ノリは同じ南米のボルヘス(『伝奇集』)に近い南米の混沌と熱気がある。あと、インタビューでもファンを公言する古川日出男の作品の雰囲気の源流はここにあったのだとわかる(『サウンドトラック』とか)。同じ名前の人が一族に何度も出現するなど混乱させられるが、それすらも醍醐味に思える。言語化した説明が難しい勢い、妖しさ、生命力、ダイナミズムが溢れ、ラストに向かって突き進んでいく。

 またいつか読みたいと思う作品。こらノーベル文学賞もとりますわ。