時間SF×ギャルゲー。
タイムマシンによる過去への干渉と世界線の移行とか、そういう話。
2000年以降のアニメ(or ギャルゲー)のお約束なのか、セカイ系、ループ、鬱展開、美形男×複数のヒロインという要素に既視感。舞台がラボになっただけで、これまでやった数少ないギャルゲーであるクロスチャンネル、ひぐらしの鳴く頃にと展開がかぶる。丁寧にギャルゲーの様式美を踏襲する展開や台詞まわしに拒絶反応が出て、素直に感動できなかった。東京にいる純度の高いオタクの、あの感じ。
去年キューバから日本に帰る飛行機で隣に座っていた親が世界的な物理学者だと言う理系の天才少女(デンマーク語のネイティブスピーカーだった)が「絶対観てください!」と熱っぽく勧めてきたので観てみたわけだが、その出会いが一番作品の世界観を暗示していたな、というのが個人的な感想。
オープニングムービーとかピアノ旋律のBGMは好きだった。
もっと純粋にSFしていれば、もっと好きだったと思う。
毎週楽しみだったのに昨日で終わってしまった。
義の人である銀行マン半沢直樹が、不正と戦う話。
勧善懲悪の娯楽の王道で、ハラハラして、ジワッときて、スカッとする。
評論家筋によると突っ込みどころは多いらしい(※情報源はSPA!)が、単純に誰が見ても楽しいと思う。
堺雅人と香川照之の演じ合いがよいよね。
余談だが、日本中の皆が熱狂するドラマがある、っていうのが日本が復活している証左だという気がしている近頃。
老若男女問わず口ずさめる歌がないとか、そういうのが国力の低下なんじゃないかってよく思う。
皆で「倍返しだ!」にのめり込んだ思い出を共有できた2013年。(「じぇじぇじぇ」もそう。)
それは実社会の大和田常務に、皆で団結して立ち向かうための物語なのだから。
ヒットしたのは侠気とか、信念とか、そういうのに世間が渇いていたということだろう。
最近久しくなかった、男のドラマ。
The 村上春樹の小説という感じだった。
つまり「自己完結型のニヒルで几帳面な主人公が、洒脱な英語圏の固有名詞が溢れる世界で、よく意味のわからん冒険をするのが、不思議な比喩と露骨な性描写を織り交ぜて滑らかな美しい日本語で語られる」という作品。
意味が分からないが、美しいっちゃあ美しい。
芸術作品としてはいい感じなのかもしれない。
『世界の終わり』のパートは幻想的なファンタジー、『ハードボイルドワンダーランド』のパートはスパイ映画のようなロマンスとサスペンス。そういう雰囲気が味わえる。
村上春樹作品というものはシネフィル(映画狂)にとってのタランティーノ映画みたいに、膨大な名作小説を読み込んだ読書フリークにはたまらない記号が溢れているのかもしれない。
今のところ長編で一番面白かったのは『ねじまき鳥クロニクル』だったな、というのが感想。
冷戦時の米露間で、狂気の空軍司令官の独断で核戦争が起こるという話。
英国の空軍将校、米大統領、核専門の科学者を同じ俳優(ピーター・セラーズ)が一人三役で演じている。
風刺がメインで、低予算な雰囲気の1964年作品。(キューバ危機の2年後だ)
高校生の頃に観たときは何が面白いんだかさっぱり分からなかったが、10年後の今観ると結構楽しめたのは近現代史の背景を以前より理解できたからか。伊藤計劃の評論によると、これはつまり『discommunicationが生み出す破局』というキューブリック作品に通底するテーマの作品らしい。皮肉たっぷりのブラック・コメディであり、悪趣味な警告であるが、これは深刻な社会危機をシリアスに伝えるよりも有効な表現だというキューブリックの判断で、原作を大きく逸脱しているそう。
邦題のセンスもいい。
出番は少ないが、Dr.Strangeloveの演技と台詞がハイライト。
Amazonでタイトルを見た瞬間に凄く気になって、数日後、松尾スズキがツイッターで面白いと呟いていたから買った漫画。
表題作の他、『ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園』『空の写真とバンププオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋』など所収。
内容はタイトルの通り。
たぶん、読む者のサブカル路線な自意識の肥大ぶりに比例して、心に痛切に響くであろう。
大好きだ。この野郎。